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冷房の設定温度の決め方は?寝るときの設定や節約のコツも紹介

「冷房の適切な設定温度を知りたい」
「節電しつつ快適に過ごす方法はあるの?」
「寝るときの設定温度はどうしたらいい?」


この記事を読んでいる方の中には、上記のような悩みがあるのではないでしょうか。環境省では室温28℃を推奨しており、身体を冷やし過ぎない無理のない範囲で設定することを勧めています。

ただし、設定温度と室温が必ずしも同じになるわけではないので、室温を確認しながら設定温度を調節する必要があります。

この記事では、冷房の設定温度について解説します。また、寝るときの設定や外気温との関係についても触れていきます。冷房の設定で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

冷房は室温が28℃になる設定温度が目安

エアコンのリモコン

冷房の温度設定をする際は、室温が28℃になるようにすることが目安となります。「28℃」とは、2005年から環境省が推奨している「COOLBIZ(クールビズ)」によるものです。

クールビズとは、地球温暖化対策のための取り組みとして、夏を快適に過ごすためのライフスタイルのことです。

実際のところ、体感温度や体温調節機能は人によって異なるため、厳密にはエアコンの設定温度は何度がよいとは言い切れません。室温は、外気温や湿度、日差しの入り方などによって影響を受けます。さまざまな影響に応じて、冷房の設定温度をもう少し下げるなどし、室温が28℃程度になるよう状況に応じて調節する必要があります。体感温度やその日の体調は個々人によって異なるので、無理のない範囲でおこないましょう。

環境省が室温28℃を推奨している背景

環境省が室温28℃を推奨しているのは、以下の基準によるものです。

  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令
  • 労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」

それぞれ、以下のような記載があります。

「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」要約
第2条第1項(建築物環境衛生管理基準)
空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調整して供給をすることができる設備)を設けている場合は、厚生労働省令で定めるところにより、居室における空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節し供給すること。

出典:厚生労働省|建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令

労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」抜粋
第5条第3項(空気調和設備等の調整)
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が18度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。

出典:厚生労働省|事務所衛生基準規則

法令によると、推奨されている冷房運転時の室温は「28℃」です。室温設定の範囲を18℃以上28℃以下にするよう努めなければいけない旨が記されています。

ちなみに、暖房運転時の室温は20℃になるように調節することが推奨されています。

冷房の「室温」と「設定温度」は異なる点に注意

勘違いされがちですが、設定温度を28℃にしたからといって、室温が28℃になるわけではないので注意が必要です。

環境省では、全国の20〜60代の男女1,342名を対象にある調査をおこないました。調査内容は、クールビズの28℃が冷房の「設定温度」ではなく「室温」であることを知っているかどうか、というものです。その結果、正しく理解している人は全体の32.3%しかいないことが判明しています。

設定温度と室温に差があるのは、日差しの入り方や周囲の環境によって室温が変化するためです。つまり、室温を28℃に保つには部屋の環境を考慮しながら設定温度を調節する必要があります。

外気温が高いと冷房の効きが悪くなることも

外気温が高いと、エアコンの冷房が効きにくくなる場合があります。理由は、エアコンの仕組みに関係があります。

エアコンから冷気が出るのは、「熱交換器」により部屋の空気から熱を取り除き、冷気を再び送り込んでいるためです。この繰り返しによって、室内は涼しくなっていきます。

空気から取り除かれた熱は「冷媒」によってパイプで運ばれ、室外機から外に放出されます。その際、室外機周辺の外気温が高いと熱を放出できなくなり、冷房効率が下がりエアコンが効きにくくなってしまうのです。

たとえば、日当たりや周囲にものが置いてあるなど、条件によっては室外機周辺の外気温が45℃近くになることもあります。

このように、室外機の設置条件によっては冷房効率が下がり、なかなか室内が冷えないことがあります。

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湿度・年齢・性別で体感温度は異なる?

部屋の湿度や、室内にいる人の年齢・性別などで体感温度が異なるのか気になる方もいるのではないでしょうか。ここからは、湿度・年齢・性別の3つの観点と体感温度の関係について詳しく解説します。

湿度と体感温度の関係性

同じ室温でも湿度が高ければ、暑く感じることがあります。湿度が高いことで汗が蒸発しづらく、十分に体温を下げられないためです。

ダイキンが実施した可視化検証試験では、同じ室温(28℃)でも湿度が高い(85%)と不快に感じ、湿度が低い(60%)と快適に感じることが結果として出ています。湿度が20%違うと体感温度は4度変わるとされています。

部屋の湿度をコントロールすることで、熱中症対策や体感温度による問題を解消しやすくなるでしょう。

年齢と体感温度の関係性

加齢によって体温を調節する機能が低下するとされています。暑さに対して何かしらの行動を起こす判断能力も弱くなることで、熱中症にかかる恐れもあるでしょう。

冒頭でご紹介したように、室温を28℃になるよう調節したりこまめに水分補給したりして熱中症を防ぐことが大切です。若年層においても、高齢者より体温の調節機能が問題ないからと油断してはなりません。

無理をせず、夏の暑さを乗り切るために必要な行動を取りましょう。

性別と体感温度の関係性

女性は男性よりも基礎代謝が低いことから、身体が冷えやすいのが特徴です。体感温度に関しても3〜5度を目安に違うとされています。

夏は基礎代謝が低下しやすい季節です。暑い外とクーラーを効かせた室内を往復することで、体温の調節機能が乱れて、自律神経の乱れにもつながりやすくなります。

基礎代謝には個人差があるものの、室温をきちんと管理して、健康な状態を維持することが大切です。

寝るときにおすすめしたい冷房の活用方法

エアコンの温度設定

寝ている間も熱中症になる可能性がありますが、冷やし過ぎも体調不良の原因となります。寝るときも冷房を使いたいという方は、以下の設定を参考にしてみてください。

ここからは、それぞれの方法について解説します。

除湿運転で体感温度を下げる

一晩中エアコンをつけっぱなしにしたい方は、除湿運転で体感温度を下げるようにしてみてください。除湿運転とは、湿度を調節できる機能のことです。

湿度は体感温度に大きな影響があり、湿度が低いと室温が高くても不快感が少なくなります。たとえば、室温が同じ28℃だったとしても、湿度が50%であれば80%の場合に比べて涼しく感じられます。

このように、湿度を下げることで身体が冷え過ぎるのを避けつつ、体感温度が下がって快適に眠れるのです。なお、一晩中エアコンをつけっぱなしにする場合は、身体が冷えるのを防ぐために夏用の掛け布団やタオルケットなどを使いましょう。

お好みの温度でタイマーを設定する

エアコンをつけっぱなしにすることに抵抗がある方は、お好みの温度でタイマーを設定してみましょう。エアコンには「入タイマー」と「切タイマー」があり、切タイマーを使えば設定した時間に運転が停止されます。

たとえば切タイマーを3時間に設定すれば入眠後に冷房の運転が停止されるので、睡眠への導入が阻害されにくくなります。エアコンをつけっぱなしにしなくてよいため、身体が冷え過ぎる心配もありません。

もし朝起きたときに汗で身体がべたついているなどの不快感がある方は、入タイマーも活用してみてください。

エアコンの除湿・冷房機能はどう使い分けるのがよい?

エアコンの除湿・冷房機能は、状況に応じて使い分けてみましょう。使い分けのポイントは、以下の通りです。

  • 湿気を感じるときは除湿機能
  • 暑さを感じるときは冷房機能

梅雨や雨の日など、ジメジメとした湿気による不快感がある場合は除湿機能を使いましょう。気温・湿度の両方が高いときは「弱冷房機能」、肌寒い日に湿度が高いときは「再熱除湿機能」と使い分けることをおすすめします。

真夏や熱帯夜など、室内外の気温が高いことで不快感がある場合は冷房機能を使いましょう。上手に使い分けることで、暑さ対策・熱中症予防に役立ててみてください。

【あわせて読みたい】除湿と冷房で電気代がかかるのはどっち?機能の違いや節約方法を紹介

エアコン(冷房機能)の電気代はどのくらい?

エアコンの電気代は、以下の計算方法で算出できます。

1時間あたりの電気代 = 消費電力(W) ÷ 1,000 × 電気料金単価(円/kWh) × 使用時間(h)

たとえば14畳用のエアコンの場合、消費電力はおよそ1,060Wとなるので、冷房1時間あたりの電気代はおよそ32.9円です。

冷房(14畳用)暖房(14畳用)
消費電力1,125W1,265W
1時間あたりの電気代約34.9円約39.2円
※電気料金単価は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWh(税込)(2024年5月現在)で計算しています

エアコンは、毎回同じ消費電力で運転しているわけではないため、上記で提示した1時間あたりの電気代がつねにかかるわけではありません。スイッチを入れたときと安定して運転しているときでは消費電力に差があるので、ここで紹介した電気代はひとつの目安として参考にしてください。

【あわせて読みたい】クーラー(エアコン)の電気代、1日つけっぱなしだと高い?節約術も解説

エアコン(冷房)の電気代は設定温度を1℃上げるだけでも節約になる

もし節電したい場合は、冷房の設定温度を1℃上げるように意識してみてください。設定温度を1℃上げるだけでも、節電になることがわかっています。

経済産業省によると、外気温度が31℃のとき、冷房の設定温度を1℃上げると年間で約940円の節約になるとされています。

ただし、節電したいからといって無理に設定温度を上げないよう気をつけましょう。寝ている間にも熱中症になる危険性があり、注意が必要です。無理のない範囲で設定温度を調節してください。

エアコン(冷房)を節電しながら使う工夫7選

エアコンの節電イメージ

節電しながら快適に過ごすには、以下のような工夫が効果的です。

  1. 自動運転モードを活用する
  2. 衣類で調節する
  3. 扇風機・サーキュレーターを併用する
  4. 厚手のカーテンを使用する
  5. エアコンのフィルターを掃除する
  6. エアコンの室外機周辺の環境を見直す
  7. 古いエアコンは最新のものに買い替える

ここからは、それぞれの工夫について解説します。

1. 自動運転モードを活用する

エアコンを使用する際は、自動運転モードを活用してみましょう。自動運転モードとは、室内外の温度に応じて最適な温度になるように温度や風量・風向の設定をしてくれるモードのことです。自動運転モードにすることで、温度を下げ過ぎることなくエアコンを使用できます。

また、製品によっては省エネモード(エコモード)が搭載されている場合があります。省エネモードを使えば最適な温度を保ちつつ、心地よい風で体感温度を下げてくれます。快適性はもちろん、省エネ性も両立させてくれるため、通常モードに比べて節電になるでしょう。

2. 衣類で調節する

エアコンの設定温度を下げる前に衣類で調節するのも1つの方法です。

一般財団法人省エネルギーセンターの実験では、上着を脱いでネクタイを外すことで体感温度が2度下がることが判明しました。こうした結果をもとに、クールビズでは上着を脱いでネクタイを外すスタイルが推奨されているのです。

たとえば、体に張りつかない服や通気性のよい素材、袖や裾が短いデザイン、襟がない衣類などを選んでみましょう。体感温度が下がって快適になるでしょう。

3. 扇風機・サーキュレーターを併用する

冷房の冷気を循環させるために、扇風機やサーキュレーターも併用してみましょう。空気を循環させることで、室内の温度ムラを解消できます。

冷房をつけていても、冷たい空気は下に溜まってしまうので、なかなか部屋全体が冷えないことがあります。扇風機やサーキュレーターを使って空気を循環させることで、冷気が上に昇ってきて涼しく感じやすくなります。

ちなみに、扇風機やサーキュレーターの併用は冬にも有効です。暖房の空気は上に溜まりやすいので、空気を循環させることで下に降りてくるようになり、部屋全体が暖まります。

4. 厚手のカーテンを使用する

冷房をつけている際、厚手のカーテンを使用するのも節電につながります。カーテンによって日光が遮られ、室温の上昇を抑えられるためです。厚手のカーテンを設置することで、同じ設定温度でも部屋が涼しく感じるでしょう。

カーテンは床まで届くような長いものが理想的です。また、白色や遮光タイプを選ぶと、光や赤外線をはね返してくれるためより効果が期待できます。

5. エアコンのフィルターを掃除する

設定温度を下げても冷気を感じにくい場合は、エアコンのフィルターを掃除してみましょう

エアコンのフィルターは、空気中の汚れやホコリがエアコンに入るのを防ぐ働きがあります。そのため、しばらく掃除しないと汚れが溜まり、空気の通りが悪くなってしまいます。するといくら設定温度を下げても、なかなか部屋が冷えなくなります。

エアコンのフィルターの性質から、定期的に掃除するのが賢明でしょう。

6. エアコンの室外機周辺の環境を見直す

もしフィルターを掃除してもエアコンの効きが悪いと感じる場合は、エアコンの室外機周辺の環境を見直してみてください。条件によっては45℃近くの暑さになることもあるため、環境の見直しは大切です。

エアコンの室外機は空気中の熱を外に放出し、涼しい空気を室内に取り込む働きがあります。もし室外機がある場所の外気温が高いと、空気中の熱を外に放出できないため、設定温度を下げても冷気を感じにくくなるのです。

可能であれば、室外機は日陰に設置しましょう。直射日光が当たらない場所に置くと、周囲の気温が上昇するのを防げます。

日影がない場合は、室外機から1mほど離れたところにすだれを立てかけたり、植物を植えたりすることで日影を作れます。

また、室外機の吹出口の近くにものを置かないことも大切です。吹出口の近くにものがあると放出した熱を再び吸い込んでしまい、空気が上手く循環できなくなってしまいます。冷房の効率が下がるので、なるべくものを置かないようにしてください。

7. 古いエアコンは最新のものに買い替える

もし10年以上前の古いエアコンを使用している場合は、最新のものに買い替えることを検討してみましょう。

環境省によると、10年前のエアコンと最新のエアコンを比較すると、約12%の省エネになり、電気代を節約できると言われています。最新の製品は機能も優れているため、同じ設定温度でもより快適に過ごせる場合があります。

また、最新の製品には自動運転モードや省エネモードなどが搭載されているので、買い替えることでランニングコストを抑えやすくなるでしょう。

冷房は室温を意識しつつ快適な設定温度に

冷房の設定温度は、室温が28℃になるよう設定することが推奨されています。室温と設定温度は違い、設定温度を28℃にしたからといって室温が28℃になるわけではありません。外気温や部屋の環境によって変化するため、各自調節してみてください。

寝る際は除湿運転または切タイマーが効果的です。身体を冷やし過ぎることがなく、快適に眠れるでしょう。

また、自動運転モードを用いることで、エアコンが快適な温度に調節してくれるうえに、節約にもつながります。ほかにも扇風機を併用したり、厚手のカーテンで日光を遮断したりするといった方法も有効です。

もしエアコンのフィルターが掃除できていない場合は、この機会に掃除してみてください。フィルターを掃除すれば空気の通りがよくなり、冷気が入りやすくなります。

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