「デマンドレスポンスの言葉の意味を知りたい」
「どんな仕組みで成り立っているのか気になる」
「メリットやデメリットについて理解したい」
電気料金の仕組みについて調べている際に、上記のような疑問を感じた方もいるのではないでしょうか。
デマンドレスポンスとは、電力の需要量を供給量に合わせる手法のことです。電気は貯めることができません。そのため、電力消費者が電力使用量をコントロールすることで、需要と供給のバランスを取ることが重要なのです。
この記事では、デマンドレスポンスの意味や仕組みについてわかりやすく解説していきます。また、後半では一般家庭向けにおこなわれた事例についても紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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デマンドレスポンスとは
デマンドレスポンスとは、電力の需要量を供給量に合わせる手法のことを意味します。正式には「ディマンド・リスポンス」と言い、省略して「DR」と表記されることもあります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 ディマンド・リスポンスってなに?
この手法が利用されるのは、電気の性質が関係しています。というのも、電気は水などの資源とは異なり、貯めることができません。蓄電池を用いる方法もありますが、大量に貯めておくには多くの設備が必要で、その分コストがかかってしまうので現実的ではありません。こうした特徴から、電気はその日使う分だけ日々生産しなくてはならないのです。
そのため、急に電力の需要が増加すると、供給が追いつかなくなってしまいます。反対に、電力の需要が減少すると電気が余ってしまう原因にもなるのです。
このように、電力の需要と供給のバランスを取るのは難しく、こうした課題を解決するためにデマンドレスポンスがあります。
デマンドレスポンスの種類
デマンドレスポンスには、「上げDR」と「下げDR」という2つの種類があります。これらは、電力需要を増やすか減らすかをという施策を表す言葉です。それぞれの具体的な内容について見ていきましょう。
上げDRとは
上げDRとは、電気の需要を増やすことです。
電気の需要を増やすべきシーンは想像しにくいかもしれません。これは、むやみに電気を消費するというものではなく、電力の使用が少ない時間帯に電気を使用してもらうことで、需給バランスを取ることです。
風力や太陽光などによって作られる再生可能エネルギーは、天候によって供給量が変動します。例えば再生可能エネルギーの供給が過剰になり電気が余ってしまった場合に、電化製品等を使用して消費したり、蓄電池や電気自動車を充電することで、電力使用量を増やします。
下げDRとは
下げDRとは、電気の需要を減らすことです。
電気は基本的に貯めることができないため、需要が供給量を上回ると需要と供給のバランスが崩れ、最悪の場合は停電が発生してしまいます。こうした事態を避けるために、下げDRが実施されます。
具体的には、ピーク時の電気の使用を抑えるよう無理のない範囲で照明や空調の使用を制限したり、蓄電池の電気を優先的に使用することで、電気使用量を抑制します。
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デマンドレスポンス推進の背景
デマンドレスポンスが注目されるようになったきっかけは2011年3月に発生した東日本大震災です。震災の影響で多くの発電所が稼働を停止しました。すると各地で電力の供給が需要に追いつかなくなったのです。そして震災後、あらためてエネルギー管理の重要性が再確認され、再生可能エネルギーの導入も見直されました。
2つ目は、省エネ法の改正です。そもそも省エネ法とは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」のことで、エネルギー利用の効率化を目指しています。
省エネ法は「電気の需要の平準化」という考え方が基本となっていますが、近年では太陽光発電の普及により、再生可能エネルギーの余剰電力が生じるようになりました。そこで、より柔軟に需給バランスを取ることを目指し、今後は「電気の需要の最適化」という考え方にシフトすべく省エネ法改正の検討が進められています。
時間帯や季節によって異なる電力需給の格差を極力減らしていくための手法として、デマンドレスポンスが注目を集めているのです。
デマンドレスポンスの仕組み
デマンドレスポンスには大きく分けて「電気料金型」と「インセンティブ型」の2種類あり、それぞれ仕組みが異なります。この章では、それぞれのタイプの仕組みについて解説していきます。
電気料金型デマンドレスポンス
電気料金型では、電力の需要がピークになる時間帯に料金を値上げするなどの取り組みをおこないます。料金が値上げされると消費者はなるべくその時間帯の使用を避けるので、電力需要のひっ迫を解消することができます。
比較的簡単に大多数に適用できる反面、その時々の需要家の反応により変化しやすいため効果が不確実といったことが特徴です。
インセンティブ型デマンドレスポンス(ネガワット取引)
インセンティブ型では、電力会社の呼びかけに対して使用量を制御することで、消費者がインセンティブをもらう仕組みです。取り組みに対してその分対価がもらえるため、消費者にとって節電の効果が得やすいというのが特徴です。
またインセンティブ型デマンドレスポンスとして「ネガワット取引」もあります。ネガワット取引は基本的に下げDRで実施され、一般的に「電力会社」「アグリゲーター」「需要家」の3者間で取引がおこなわれます。
「需要家」とは、電力会社と契約して電気を使用する消費者のことです。需要家には、一般家庭だけでなく、企業での消費者も含まれています。「アグリゲーター」とは、電力会社と需要家の間に立って電力需給バランスをコントロールし、電力量の指令を出す人を意味します。
ネガワット取引の大まかな流れは、以下の通りです。
- 電力会社がアグリゲーターに対して下げDRの呼びかけを依頼する
- アグリゲーターが需要家に対して下げDRを呼びかける
- アグリゲーターがどれだけ電気使用を抑制できたか確認する
- アグリゲーターが電力会社に対して抑制量を提供する
- 電力会社がアグリゲーターに報酬を提供する
- アグリゲーターが需要家に報酬を支払う
ネガワット取引の特徴は、アグリゲーターが存在することです。基本的に、電力会社が直接需要の規模が小さい一般家庭向けにデマンドレスポンスをおこなうことは困難です。そこでアグリゲーターが間に入って各需要家の需要を取りまとめることにより、一般家庭でも参加できるようになったのです。
デマンドレスポンスのメリット
デマンドレスポンスを実施することで、一般家庭の消費者にもメリットがあります。主なメリットは、次の3つです。
- 上手く活用すれば電気代を抑えられる
- 地球温暖化対策に繋がる
- 電気の使用について見つめなおせる
メリットについて理解することで、ご自身や家庭にとって効果が得られるかどうか判断できるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
上手く活用すれば電気代を抑えられる
デマンドレスポンスには、上手く活用すれば電気代を抑えられるというメリットがあります。電気料金型の場合、ピーク時を避けて電気を使用することで電気料金を抑えることが可能です。また、インセンティブ型では呼びかけに応じて節電することで、報酬をもらえます。
さらに、節電によって日本全体で発電のための燃料調達コストを削減できるようになります。すると、国内全体の電気料金が抑制され、最終的には消費者に還元されるとも考えられます。
電気の使用について見つめ直せる
デマンドレスポンスにより、電気の使用について見つめ直すきっかけを得られます。
これまで電気料金をあまり確認しておらず、毎月どれだけ電気を使用しているか分からない方もいることでしょう。また、電気の需要にはピーク時が存在することや、電力会社が需要と供給のバランスを保つために様々な取り組みをおこなっていることも知らなかったかもしれません。
まずはこうした現状を知ることで、身近な課題としてとらえられるようになります。そしてライフスタイルに合わせて電気の使用方法を改めることで、家計のやりくりに繋げたり、環境問題に取り組んだりできるようになるのです。
地球温暖化対策に繋がる
電気の使用量を抑えることは、地球環境を守るための第一歩です。また、電力の需要がピークになっているとき、電気を使用する時間帯を調整することで、再生可能エネルギー由来の電力を有効的に使用できるようになり、エコに繋げることができます。
節電をおこなっても、消費者個人の力では大きな対価を得られないかもしれません。しかし、地球環境をクリーンに保つことは、世界規模で考えると重要なことになるのです。
デマンドレスポンスのデメリット
一方で、デマンドレスポンスには2つのデメリットも存在します。
- 電気の使用量を把握しなければならない
- 条件に縛られる
デメリットについて知っておくことで、ご自身のライフスタイルに適しているか判断できるようになります。しっかりと確認しておきましょう。
電気の使用量を把握しなければならない
節電の効果や報酬を得るには、まずは電気の使用量を把握することから始めなければなりません。そして、効率的に節電をおこなうには、消費電力が大きなものから実施することが大切です。そのため、家電ごとに異なる消費電力を把握する必要があります。
このように、まずは現状を正しく把握した上で、節電効果の高い家電や時間帯を意識して需要量を調整することが重要です。そのため、これまであまり節電を意識してこなかった方にとっては、面倒に感じるかもしれません。
条件に縛られる
デマンドレスポンスへの取り組みを成功させるには、消費電力量を減らすなどといった条件をクリアしなければなりません。そのため、季節によっては苦痛に感じてしまうことがあるでしょう。
また、多くの人が電気を使用する日中や夕方の時間を避けなければならないので、これまでとは違った生活を送らなくてはならない場合もあります。また、家庭によっては、家族からの理解を得られない可能性もあるでしょう。
デマンドレスポンスをする際の注意点
一般家庭でデマンドレスポンスをおこなう際に、注意しておきたい点があります。ポイントは以下の2つです。
- 生活と節電のバランスを保つ
- 期待よりも報酬が少ないこともあると認識しておく
ここからは、それぞれの注意点について解説していきます。
生活と節電のバランスを保つことが大切
デマンドレスポンスでは、ご自身の生活と節約のバランスを保つことが大切です。電気の使用量を抑えたり、ピーク時を避けたりしなければならないことから、ライフスタイルを変えなければならない可能性があります。
たとえば、電気ではなくガスを使用したり、深夜に家電を使用したりすることなどが想定されます。こうした取り組みを楽しんでおこなえるなら問題ないですが、苦痛に感じるなら要注意です。
長く続けるためにも、生活に支障をきたさない範囲で取り入れることがポイントとなります。
期待よりも報酬が少ないこともあると認識しておく
場合によっては、期待していたよりも効果が少ないこともあるでしょう。「あれだけ節電したのに、大して節約にならなかった」「使用時間をずらしたのに、あまり報酬を得られなかった」と期待外れになってしまうこともあるかもしれません。
期待外れな結果にならないためにも、あらかじめシミュレーションしておくことをおすすめします。電力会社によっては、ご家庭の電力使用量を日別・時間帯別に確認できることもあります。現状はどれだけ電力を使用しているか、どの時間帯に節電すると効果的かを確認し、計画的にデマンドレスポンスに取り組みましょう。
デマンドレスポンスをきっかけに電気の使い方を見つめ直そう
この記事ではデマンドレスポンスの意味や仕組みについて解説しました。電力需要のひっ迫が取り上げられる昨今では、一人ひとりが電気の使い方について考える必要があります。こうした取り組みを利用することで、よりお得に電気を使えるようになるかもしれません。
また、視野を広げると環境問題に繋げることもできます。電気の使い方について考えることは、よりクリーンな環境を保つためにも重要な取り組みの1つとなるのです。ぜひこの記事でご紹介したことを参考にしていただき、電力需給バランスの最適化に取り組んでみてください。
CDエナジーなら、生活スタイルに合わせて電気料金プランを選べる!
CDエナジーダイレクトでは、関東エリアのご家庭向けに豊富な電気料金プランをご提供しています。CDエナジーに切り替えて最適なプランを選択すると、月々の電気料金がお得に!さらに、電気料金の支払いに使えるポイントが貯まるほか、ガスとセットで契約すると割引が適用されます。「どのプランを選べばいいの?」とお悩みの方は、以下の図をご覧ください!
※おトク額は、各世帯別のモデル使用量(契約容量40A)をもとに東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」の適用単価とCDエナジー「シングルでんき」「ベーシックガス」「ファミリーでんき」の料金を比較し算定しています。
※消費税相当額を含み、燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まず、ガスセット割を適用した金額の比較。年間おトク額は電気・ガスそれぞれを100円未満で切り捨てた額を合計しています。
※実際は電気代には毎月燃料費調整額を加減算。使用状況によりお得額は変動。
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※CDエナジーの電気料金は、燃料費調整単価に上限なし。一方で、東電EP「従量電灯B」には燃料費調整単価に上限があるため、燃料価格の高騰により上限を超えた場合、燃料費調整額により、CDエナジーの電気が割高になる場合があります。
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